上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.01 / Top↑
 その秘密が、この国の伝統的食材、食生活にあることは疑いの余地がない。
 前述したように、バリバリと生のキャベツを切り裂いて、あるいは香菜の葉(バイ)を茎から切り離し、調理したものに混ぜて口へ運ぶ。

 青い唐辛子を生のままボリボリとかじる人は少数だけれど、赤いのを折りまげて口に放り込む人はしばしば見うけられる。酵素預金の切り崩しを抑え、代謝を助ける酵素満点の食生活なのだ。

 そして、これまた忘れてはいけないのが、調味料の王たる発酵食品、ナムプラー(<魚の水>の意)の存在である。

 このあたりで、海のものの話を加えてもいいかと思う。というのは、この国は、山、川に加えて、東はカンボジア国境までと南はマレー半島の北部、マレーシア及びミャンマー国境まで長い海岸線をもち、海の生きものの宝庫でもあるからだ。

g13-2
ナムプラー


 そのタイ湾(以前は「シャム湾」と称された)があることで、食材の厚みがさらに増すわけだが、ナムプラーほど、昔の人の知恵がすばらしく発揮されたものはない。まだ科学など発達していない時代に考え出されたものが、現代科学も生み出せないようなものであったりするのは他の分野にも散見されるが、食の世界でいえば、この魚を発酵させて作るナムプラーなるものだろう。

 これに唐辛子のみじん切りを入れたものを、プリック・ナムプラーといい、いろんな料理に入れたり、添えたりする。調味料として、テーブルに置かれていることも多い。

 はじめてのレストランでは、気をきかせたつもりで辛さを抑えた料理を出されることがあるのだが、即刻、この唐辛子入りナムプラーを持ってきてくれ、と我はいう。すると相手は、おう、と驚いて、日本人じゃないのか、と問うので、マイ・チャイ、ポム・ペン・コン・タイ!(ノーノー、ぼくはタイ人よ)と返すと、またも、おう、と肩をすくめ、小粒の青唐辛子も混ざったものを持ってきてくれる。

 直径7センチほどの小皿(ふつうはこれで持ってくる)では足りなくて、お替わりをする。むろん、次に行ったときには我を憶えていて、タイ人なみの日本人、として扱われる。

 ベトナムではニョクマムと称されるが、我が国でも秋田あたりで、塩汁(しょっつる)という、イワシやハタハタの類を塩漬けにし、発酵させてその上水を取って出来る魚露がある。それと似た手法で、小魚を大きな桶に入れて発酵させる。そのニオイたるや、それをやっている海べりへ行ったことがあるのだが、プンプンどころか、グエッと胃の中のものを戻しそうになるほどだ。

 はっきりいって、臭い。こんな臭いものが人体によいなどと、昔の人はよくぞ知りえたものだと感心してしまう。

 発酵。酵素が発すると書くその反応こそ、先に述べたように、人の体内にある酵素の働きをおぎない、預金の減少を抑えてくれる助っ人なのだ。我が国が世界に冠たる長寿国であるのも、味噌,醤油、酢といった発酵食品に加えて、同じく発酵してうまくなる納豆や漬物の超大国であるため。

 韓国人の強さの源もまた、超発酵食品であるキムチが効いているからである。焼肉が効いているという人がいるけれど、確かにタンパク源としての役割はあるが、それを分解する酵素が活発に働かなければ何にもならない。

 現に、我がよく友人のキム・スンゴン(我のエッセイにしばしば登場してきた親日家)に連れていかれたソウルの焼肉レストランは、現地人の通がいくところだが、そこでは肉よりも生の野菜とキムチの量のほうがはるかに多く、まさに山盛りにして運ばれてきたものだ。

 日韓ともにすばらしいものを持っているわけだが、それと同様、この国の人々の底力は何かと問えば、答えはまぎれもなく香辛料とナムプラー(それとむろん野菜と果物)、ということになる。
2009.08.01 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.02 / Top↑
 ナムプラーの消費量がいくらになるかは知らないが、水に次ぐ量ではないかと思われる。石油には及ばないにしても、ビールには匹敵する、いやそれ以上かもしれないほどに、それはありとあらゆる料理に、ふんだんに使われる。

 日本の醤油もすごい消費量だが、それがあるおかげで日本食がうまいように(欧米人にいわせると、ずるい、とすら感じるらしい)、タイ料理もそれなくしては語れない。まさに、ずるいものを持っているのだ。

g13-3
麺類の調味料 / ナムプラー・唐辛子入りの酢・ピーナツ粒・唐辛子・砂糖


 およそのタイ人が日本食を大いに好むのは、この根幹となる調味料が同じ発酵食品であるからではないかと、我は分析している。材料が大豆と魚で異なり、味も違うわけだけれど、根底に、発酵物、体によいもの、という共通項があるからだろう。経済発展のおかげで人々は少し高めの日本食にも手が出るようになっていて、主な大衆的日本料理店は大はやりである。

 それはともかく、あれほど臭いものが、香辛料たっぷりの料理に使われると、みごとに変貌し、芳しい、何ともいえぬうまさを醸しだすのだから、これまた不思議だ。食材のハーモニーというのだろうか、タイ料理の真髄はそれだと前に述べたが、伝統というのはたいしたものだと、ここでも思う。

 ベトナム、カンボジア、ラオスのインドシナ三国はフランスの植民地になったことで、その食習慣がかなりフランス化され、ラオスなどはタイと同じ文化圏であるはずだが(言葉もほぼ同じ)、タイ料理のような辛いゆえのうまさは劣るし、ベトナムやカンボジア料理もいささかフランス的に変質している部分がある。(但し、フランスパンは実にうまい。)

 フィリピンもスペイン統治時代が長く、民族料理もあることはあるが、かなりスペイン的に変質している。マレーシアやミャンマーは、もともと食文化のパッとしないイギリスの植民地となったがために、食文化の変質はあまりなかったようだが、この国だけは、まぎれもない伝統、ゆるぎない香辛料とナムプラーの世界を維持している。
2009.08.02 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.03 / Top↑
[10時間で上手くなる]文章道場 開講&塾生募集!

 昨今、グローバル時代、IT時代の到来と共に、国語力強化の重要性が叫ばれています。母国語がしっかりと出来ていることがコンテンツの価値を高め、カリキュラム全般の学力向上の基礎ともなるからです。

 この度、そのような趣旨の下、作家・笹倉明氏を講師として、[10時間で上手くなる] 文章道場を開設する運びとなりました。句読点の打ち方ひとつ、推敲の仕方ひとつで文章は見違えるもの。その道の達人、直木賞作家が、40年にわたる文章修業と作品体験を4週10時間にまで集約し、「日本語はこう書く」をテーマに、究極の文章力アップ法を伝授いたします。

[講義及び添削指導内容]
[講義]
〇「てにをは」の正しい使い方 
〇句読点の打ち方と文体 
〇漢字カナ混じり文の問題点と書き方 
〇推敲の大事について 
〇文章、文体は個性であることの意味 
〇文章の目的と表現について 
〇文章家への道程 
 その他

[添削指導内容]
・作文の添削指導:1週間に1度、作文(テーマは自由)を提出、それを塾長が添削し、レベルに合わせて個別指導致します。(枚数は400字詰原稿用紙1~10枚。日常雑記、紀行、エッセイ、感想文、論文、レポート等。テーマをアドバイスする場合もあります。パソコン使用の場合は、プリントして提出。)

・履修期間:約1ヶ月間とし、計4作の添削指導と10時間の講義(原則として週末の2時間30分×4回)をもって修了と致します。(説明会の日程、場所等は入塾希望者にお知らせ致しますが、お申し込み後、しばらくの待機をお願いします。)

・募集:小・中学生の部 / 高校生以上一般の部(2009年 秋・冬季~)
*随時希望者を募集。日程調整の上、グループ(少人数)での開始となります。
*開講地は、東京、大阪、バンコク他。国内外の開講希望地も募集しています。

・入塾費:3,000円(1000バーツ)
・塾費(全経費):小・中学生の部18,000円(6,000バーツ)
高校生以上一般の部24,000円(8,000バーツ)

[塾長・笹倉明略歴]1948年兵庫県生まれ。早稲田大学文学部卒。89年「遠い国からの殺人者」で第101回直木賞受賞。ブログ(有料)「笹倉明の地球塾1 自由(タイ)の河をゆく」配信中:http://sasakurablog.blog16.fc2.com

〇お問合わせ/お申し込み:
ブログへの書込み又は: fairway★silk.plala.or.jp又は:japandesk★ezgolfonline.com(タイ在住者)地球塾プロジェクト事務局、まで。
(上記のメールアドレスは、★を@に変換してお送りください。)
2009.08.03 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.04 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.05 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.06 / Top↑
今週の金土日は有料記事のお休みとさせていただきます。
暑いですから・・・。管理人判断でございます。ご了承ください。
なお、グルめぐりはセットしておきました!

笹倉さん、よい休暇を!
2009.08.06 / Top↑
<ソムタム 陶然の極致>

 あと、これはどこにでもあるものだが、ピーナツだ。世界で生産されるマメ類の中では、この落花生が大豆に次ぐ量であるらしい。

 その消費量もまた、何番目かにくる、おそらくベスト5には入るだろう。日本では、酒のつまみやおやつ、特定の料理にしか使われないが、この国では、日常的に、それをまるごと、もしくは細かく砕いて、いろんな料理に使う。(副食の一つとして、ヌードルの店などでは砕いたものを器に入れてある。好きな人は器を空にしてもよい。)

 その代表格が、<ソムタム>という料理。これはもともとタイ東北部(イサン)の食べ物で、パパイヤ料理といってさしつかえない。パパイヤ・サラダ、と英訳する人もいる。

 大衆料理のまさに優等生。これほど庶民に愛されて、膨大な量がタイ人の胃袋へと向かう料理はほかにない、いや、トムヤムといい勝負か。パパイヤはタイ語で<マラコー>と呼ぶが、パパイヤなどという英語は知らない人が多い。よかよか。

g14-1
ソムタムとカオ・ニャオ


 我もまた、これなくしては一日たりとも過ごせない、というのは大げさでも何でもなくて、ほぼ毎日の昼食はこれ。部屋を出て三十秒で行ける店、自宅の庭先を店舗とする店では、我のあだ名をソムタムとつけた。

 周辺には、それを売る店がいくつもあるのだが、そこがいちばんうまい。というのは我のみでなく、非常にはやっていることからもいえる。

 朝八時ころの開店で、ピークは昼時。庭のスペースにはテーブルが三つほどしか置けないが、これもよくしたもので、この国はテイクアウト(もしくは「テイクアウェイ<英>」という)がごく一般的なやり方(我はこれを“持ち帰り文化(テイクアウト・軽チャー)”と呼ぶ)。

 店先で待ち、ビニール袋に入れてもらって軽く提げて帰る人がほとんどなので、我の席がないということはまずない。そうして持ち帰ることを、サイ・トゥン<ビニール袋に入れる>というが、知らなければジェスチャーで何とかなる。


たまらず管理人:
ソムタムとカオニャオというと、管理人の場合ラオス旅行をすぐ思い出します。カオニャオはあの竹籠(せいろ)に入っていないといやだ~! あの籠、2つも買って帰ってきたのですが、まだもち米を炊いてないなぁ・・・。
いずれにしてもソムタム同盟、作りましょうか?
2009.08.07 / Top↑
 その家の女主人がつくるソムタムは、さすがイサン出身だけあって、本場の味。手抜きがない、といっても作り方はシンプルで、材料を叩いて混ぜる擂鉢(大小あり、木製か石製)と柄のない木の擂粉木(すりこぎ)があるだけ。

 そこへ、まずは赤い唐辛子をひと掴みとニンニク(これは小さな皮つき)を少々放り込み、擂粉木でトントンと叩いておく。赤唐辛子(プリック・デーン)は乾燥させたものを使うこともある。

g14-2
ソムタムは叩いて酢っぱく作る


 次に、小ぶりのトマト(皮が厚く硬いもの)二個をそれぞれ半分に、50cmほどもあるインゲンを二つ折りにし、適当に擂鉢の縁で切り、そのまま落とし入れる。

 つづいて乾燥エビをひと匙入れ、ナムプラーとパーム・シュガー(椰子から採ったものでタイ語は<ナムターム・ピープ>)と味の素と、ナーム・マカーム・ピァク(タマリンド<マカーム>を水に浸してつくる汁でやや甘酸っぱい)、それにピーナツをひと掴み入れ、しばらくトントンと叩いてから、パラーという魚を発酵させてつくる汁(これはナムプラーよりはるかに臭いので我は少々)と川蟹(プー・ナーム)を一匹、甲羅だけをはがしてまるごと入れる。

(これらの順序は作る人によって若干前後し、店によってはタマリンドの汁や味の素、それにパラーや川蟹は入れなかったりもする。)

 この川でとれる淡水蟹が隠し味といってよく、これを入れない店もあり、そうすると味が大いに変わるのが不思議。その人の好みによって、入れたり入れなかったりだが、我はオーケー。ときに、海の小蟹<プー・タレー>を使うこともあるが、川蟹が手に入らないときは、その店でもそうだ。
2009.08.08 / Top↑
 そして、また叩く。この叩き方にコツがあって、あんまり強くやるとトマトやインゲンや蟹などの材がつぶれてしまう。適度の力で、もう片方の手に持ったスプーン(大型のもの)で混ぜ返しながら打つ。この手さばきがみごと。

 次に、ライムを一個、四つ切りにし、ビニールの袋を手にはめてたっぷりと搾り入れる。
 パパイヤを入れるのは最後だ。あらかじめスライスしておいたブルー・パパイヤをひと掴み、バサッと入れて、仕上げの叩きをやる。パパイヤは水分を吸いやすく、すぐに萎えるので、腰を保つためにそうするらしい。

 そして、供する前に、お客に味見をさせるのが、その店の律儀なところ。パパイヤ・スライスを二、三切れ、スプーンで拾って差し出すと、お客はそれを手でつかみ、口に入れて、およそウンとうなずく。注文をつける客はみたことがないのだが、小母さんは必ずこれをやる。

g14-3
スライスされたパパイヤ


 これに使うパパイヤは、まだ熟していない若いころのもので、三種類ほどある。つまり、熟すと果肉の色がオレンジ、黄色、ピンクになるもの、それぞれ若いころのものが使える。

 濃いグリーンの皮をむくと、白に近いライトブルーの果肉で、これをスライスする。その作業を営業中にしばしばやるのが一家総出のシゴト。馴染み客も手伝うことがある。

 このスライスされたパパイヤそのものは、何のニオイもなく、味もないに等しい。これがよくしたもので、いろんな味付けを素直に受け入れるわけだ。

 市場では、これも山と積まれていて、ソムタムのほか、ピクルスやガーリック・チリや切り刻んで卵と炒めた料理(パッ・マラコー・サイ・カイ=卵入りパパイヤ炒めの意)など、実に様々なものに使われる。
2009.08.09 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.10 / Top↑
ご愛読ありがとうございます。管理人です。

笹倉さんと相談のうえ、いま有料記事となっている「地球塾エッセイ」を平日の週5回配信に変更し、無料記事としてきた「食べタイ料理 グルめぐり」を今後は土日の週2回、有料記事とさせていただきます。

その代わりといってはなんですが、「わが文章修行~自伝的エッセイ~」と題する新連載を無料記事として開始します。
こちらは現時点で不定期連載ですが、そうすると管理人がすっぽかす可能性もありますので(汗)、近々、何曜日にするか決める予定です。

笹倉氏:「これは、自伝的とあるように、売れない時代から新人賞の時代へ、また売れない時代を経てサントリー、直木の花の時代を経、映画や復権運動に手をだしてまた凋落し、再び復活にかけながら文章道場という、カンレキを機にしたものでのりをしのぐという、たぶん2,3年はかけるエッセイ。」
…とのことです。

月~金:地球塾エッセイ(有料記事)
土・日:食べタイ料理 グルめぐり(有料記事)
不定期:わが文章修行~自伝的エッセイ~


というようになりますので、何卒ご了承ください。
いよいよ3本立てのブログとなり、笹倉さんは大変でしょうがヒーヒーいいながら頑張ってください(笑)。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
2009.08.10 / Top↑
通番(130)

 とまあ、話はいささか広がりすぎたけれども、要するに、わが国はそういう次第で、実に細かな規制やシキタリにがんじがらめになっていることに、モノを申し上げたい、ということなのだ。それによって、人間としての自由な魂、精神を阻害され、失敗や失礼を恐れる無用の気づかいでもって、知らずとストレスを溜め込んでいる。

 そう、日本という国に住む人々の、「ストレス」なるものの大きな因の一つは、この、ふだんは気づかない、心の奥深いところにある、手かせ足かせである、ということに思いを致さざるを得ないのである。
      
130
会場のレストランからみるメナムとクルーズ船


 以前、日本は非常にオーガナイズ(組織化)された国であると、それを賛美するかのようにスティーブが口にする話をしたと思うが、我は、そういう彼に向かって、それは非常に問題も多い、やっかいなことでもあるのだと返している。

 人間の身体がすばらしくオーガナイズされたものであることは科学の証明するところだが、人間の社会というものは、どんな叡智をもってしても、そう簡単にすばらしくオーガナイズできるものではない。むしろ、組織化しようとすればするほど、人間というものの本来の魂、自由でありたい精神によって逆のベクトルが働き、摩擦の多い、住みづらい環境をつくっていく。

 社会を管理、運営していくためには、むろんある程度の仕組み、枠組みは必要だが、まるで投網のような法で人間を束縛してしまっては、組織自体が自壊作用を起こすことになる。青少年の育成のためになすべきことは、煙草を自動販売機で買えなくするとか、午後十時以降の外出を禁止するといった、小手先というにはあまりに瑣末な、本質からかけ離れたことではない。

 まるでお笑い種にすぎないことを平然とやってのけるもろもろの有様をみると、日本人自体の思考レベルが相当に落ちていることもさることながら、そういうことになってしまう原因もまた、こなたにいると見えてくる。

 つまり、以前にも少し触れたと思うが、大部の国民を何か一定の価値観や考え方で統合するもの、宗教なり哲学なり思想なりがないこと、従って原理原則もないことが非常に大きな要因としてある、ということだ。

 とくに戦後は、団塊世代を漂流民と我は称したけれども(それ以前の世代はもっと悲劇的な自信喪失、自己転覆の憂き目を舐めたわけだが)、ただ浅いところで、表面的なところで漂うばかり、テクニック優先の点数獲得術でもって競争させられただけで、そこには何ら、今述べたところの精神的基盤といったものを持ち得なかった。
2009.08.11 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.12 / Top↑
 我の同業者(モノ書き)の多くは、こういうこと(「文章道場」のようなこと)を始めたのを知ると、まずもって、ニヤリとする。ニコリではなく、ニヤリであるにちがいない、というのは、そこに同業の同業たる深いゆえんが潜んでいるからである。

jiden1
筆者のデビュー作、1980年<すばる文学賞入選作>


 とうとうササクラ・メイもか、と、石和鷹(いさわたか)さんが生きていればきっと高笑いをする。我のことをアキラと呼ばずにメイと呼んだ(呼んでくれた)わが国唯一の同業者で、50歳から60歳まで、ちょうど10年間、元「すばる」(文芸誌)編集長の肩書きをもって(それ以上の昇進を棄てて)作家に転身し、数々の作品を遺した人だ。その編集長時代、我を世に出してくれた人でもある。

 亡くなる直前まで、「地獄は一定すみかぞかし」(新潮文庫)を完成させるために筆を離さなかったモノ書き魂はしかし、ガンとの闘いを描くその作品通りの壮絶な最期を迎えることとなった。


笹倉明の「文章道場」開講&塾生募集!
2009.08.12 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.13 / Top↑
続きはブロマガを購入して楽しもう!
このコンテンツはブロマガ(有料)です。
購入すると続きをお楽しみいただけます。
ブロマガって何?
2009.08.14 / Top↑

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。