実のところ、私もまた、酒は絶対禁ではありません。このへんの寛大さは、自分で自分に呆れているのですが、タダ酒を飲める日を心待ちにしている次第で、というのも、わがアパートメントには知り合いの日本人が、それぞれ年に何回かやって来て宿泊するのですが(ホテル形式で短期でも泊めているため)、中には、食事に誘ってくれて、ついでにビールなど飲ませてくれる人が何人かいるからです。平均すると、三ヶ月に一度、といったところでしょうか。

 そんな時のビールは、まさしく値千金、ノド越しに黄金でも流し込まれているような味(超高級な日本酒には金箔入りというのがあって、父は人からもらったそれをチビチビと大事に呑んでいましたが)、といって過言ではありません。ビールがこんなにうまいものだとは、酒を知ってこのかた、ついぞ知らぬ仏のなんとかで、ほとんど感激の落涙をしてしまうほどなのです。

 コンビニの棚からビールを手にしてレジへ向かい、レジのお姉さんがバーコードを鳴らす直前に取り戻し、棚へ引き返して置いてくるようなことをくり返してきたわけですから、その待ちに待った日がどれほど価値あるものか、おわかりいただけると思うのですが、そんな幸せな日があればこそ、断ってよかったとも思えるのですから、ビンボウもしてみるものだと、人生はわりあいおもしろいものだと感じたりもするのです。
2016.04.04 / Top↑
Secret